中高年サラリーマン、これでいいの?
サラリーマンの楽園は終わった
「お変わりございませんか」という言葉で始まるのが日本人の挨拶であるという。
会社人間サラリーマンの多くは、「少なくとも定年まで、出来れば定年が過ぎてもこの会社に残りたい」と願っている。
しかし、残念ながらこのサラリーマンの会社への安住の夢は無残にも打ち砕かれようとしている。
云うまでもなく、企業サイドの生き残るためのなりふりかまわぬリストラの波によってである。
ここで、大企業を例にとって企業リストラの構図を単純化してみよう。
高度成長からバブル期に至るまで企業経営規模拡大期には、例えば1,000名の人員増を必要としたとする。
その場合500名の自然減があるとすれば、新規採用は1,500名となる。
このケースでは膨張する組織に対応して部下のいる、あるいは部下のいない部門も含めて、年功によって役職を与えることが出来た。
しかし、大競争時代の現在は、遂に1,000名の人員縮小を行いたいとする。
この場合500名の自然減はあるとしても、500名の新規採用は行いたい。
したがって1,000名のリストラが必要となる。
現在、企業が余剰と考えている社員層の第一は中高年管理職層。
そこで、中高年対象の出向、転籍、さらには希望退職の勧奨がまず行われるというリストラの構図が出来あがる。
「会社」という名の「サラリーマンにとっての楽園」は消滅したのである。
「20代も解雇」リストラの厳しい現実
このリストラの対象は中高年ばかりではない。
次は20代、30代の若手社員に飛び火する懸念がある。
20代後半から30代を迎えるこの層は、いわゆる「バブリー君」。
多くの企業がバブル期に大量に採用した年齢層である。
社員の年齢構成的にも突出しており、早くから将来のポスト不足が課題となっていた。
この年齢層は会社からは自分中心型、会社に対する帰属意識が足りない層と見られており、リストラの対象となっておかしくない層なのである。
すでに早期退職優遇制度の対象を20代にまで拡大している企業が多くなっている。
こうした制度の対象となるのはまだいいほうで、水面下では配転、陰湿な人事評価・処遇なのでいびり出される若手社員も少なくないといわれている。
現実は厳しい。
若手社員といえども、今、中高年に押し寄せているリストラの嵐を対岸の火事などと云ってはおられない。
中高年生き残りの方向
若い人であれば、能力再開発、転職という新天地開拓など会社の中、会社の外を問わずやり直しの機会は多い。
しかし、中高年サラリーマンの多くは年功以外に特に取り柄もなく、能力再開発にも自信はないが、出来ることならば会社に定年まで残りたいと考えている。
一方、会社側からみれば最もリストラを行いたい社員層であり、外部企業からみればあまり必要としない人材でもある。
こうした中高年サラリーマンが会社に生き残るためにはどうしたらいいか。
そのためには、変化する企業環境、経営システムに対応して自己を変革することが出来るかどうかにかかっている。
それでは、中高年の自己改革はそんなに難しいものなのか。
リストラといっても、企業はそうそう簡単に社員は切れない。
専門外の部門への配置転換する、部下のいない閑職へと追いやる、系列会社への出向を内示するなどの対策がまずとられる。
そして、我慢できなくなって辞めて行くのを待つということになる。
逆に、この「ヒマ」になった期間こそ自己革新のチャンスとして転身に成功した事例もある。
かつては大手機械メーカーに所属し、現在は経営コンサルタントとして自立しているA氏のケースを次に紹介する。
A氏が、突然、それまでの技術畑から営業職へと飛ばされたのは、今から7年前の50歳の時。
技術メーカーのこととして技術部門が花形であり、これまで経験のない営業部門への異動は左遷である。
A氏はその時点では会社から窓際族として評価されていたわけであり、まさに青天のへきれきの大ショックといえた。
辞表を出すか、徹底的に抵抗するか、社命に従順に従うか、サラリーマンの選択肢はこの三つである。
辞めないことを選択したA氏は、左遷ともいうべき配置転換をむしろ人生にとって新たなチャンスととらえ、新しい職場で最善をつくすこととした。
そのためには、技術屋ならではの営業手法の確立と営業活動の展開が必要と考えた。
その結果、A氏が技術畑で蓄積したキャリアを最大限に活用することにより独自の営業システムを開発、抜群の営業実績をあげることができた。
ここで2年、A氏の前向きの姿勢と能力は高く評価され、今度は新設のユーザーに対するコンサルティング部門に社内スカウトされることとなった。
ここでは3年、経営コンサルティング活動のかたわら、中小企業診断士の資格を取得するなど自己啓発に努めた。
そして2年前、早期退職優遇制度を活用しでI昔しまれつつ退社。
経営コンサルタントとして独立。
経営指導、講演等で多忙な現在に至っている。
このケースは、それまでリストラ要員ともいえたA氏が、左遷ともいうべき配置転換を機会に自己革新。
社内でも高く評価され、外へ出ても独立できる「自立する」ビジネスマンへと脱皮したケースである。
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