会社における「自立」も一つの選択肢
サラリーマンに共通するストロングポイントは、「組織の中で生きる技術」と「わが社においてこれまで蓄積してきたキャリア」である。
転職、独立もよいが、その前にまずわが社の中でこの強味をもう一度活かすことを検討する必要がある。
サラリーマンの「独立」は困難への挑戦
マスコミでは、厳しくなったサラリーマン生活に別れを告げて自営業への転身、あるいはベンチャー企業創業などの成功例がはなやかにクローズアップされている。
しかし、中高年サラリーマンは、「自立」を求めてのビジネスコース選択の前に、ビジネス人としての自分の評価をもう一度客観的に見きわめておく必要がある。
サラリーマンの特性を会社への帰属意識により、次の4つのタイプに区分した。
- (1)会社中心型
- (2)寄らば大樹型
- (3)自己矛盾型
- (4)自己中心型
この4タイプいずれにも共通するのは「会社への依存意識の高さ」である。
この意識を打破してサラリーマンが自立するには、相当の覚悟と努力が必要といえよう。
これまでは、サラリーマンとして分をわきまえた行動で、会社にぶら下がっておれば何とか給料はもらえた。
独立して自ら事業を起こすとなると事情は全く違ってくる。
サラリーマンのほとんどは常識型であり冒険を好まない。
独立して事業を興すなどは、困難への挑戦ともいえる。
もちろん、成功例も多い。
後程、独立の進め方とその課題を具体的に示すものとする。
「残留」もサラリーマンとしては有力選択肢
そこでわが社に残留し、サラリーマンとしての「自立」に挑戦するのも一つの選択肢である。
いくつかのコースを検討したが、結局はこのコースに落ちつくケースが多いと考えられる。
中高年サラリーマンの多くは、「会社人間」として何十年も過ごしてきた常識型人種である。
この層がもし現在の会社を離れて、転職あるいは独立するとすればそれ相当のハンディキャップがあることを自覚しなければならない。
転職を有利にするだけの能力が自分にあるか。
独立するための有形、無形の開発資産ともいうべきものが自分にはあるか。
それが、目指す方向と合致するものであるかどうか。
あまりにもリスクは多い。
それに比べれば、居心地が悪くなったとはいえ、今の会社にとどまった方が無難だということになる。
ひるがえって、サラリーマンの強味は何であるかを考えてみよう。
第一は「組織の中で生きてきたというキャリア」である。
組織をはなれて独立するということはサッカーの選手が相撲のプロに志願するようなものである。
独立すれば自分だけでの一本勝負、失敗は許されない。
それに対し、組織プレーのサッカーでは多少の欠点はチーム全体でカバー、長所を生かしてくれる。
イエローカードは2枚までOKで、多少の失敗は許される。
さらに組織の中におれば、レッドカード、あるいはイエローカード3枚で退場するまでに、自分の能力再開発など様々なことが出来る。
つまり、その期間を利用して自己革新を行い社内における存在価値を高める、あるいは転職・独立に向けての勉強も出来る。
即ち、組織の中におればやり直しもきくし、転進の準備を整えてタイミングを待つことも出来るということだ。
サラリーマンの強味の第二は「現在の会社で蓄積したキャリア」である。
過去の栄光は捨てなければならないが、蓄積したキャリアは財産であり活かすことが出来る。
しかし、このキャリアは多少古くなり、現在では通用しなくなっているものもある。
あるいは、貰っている給与に見合わなくなっているキャリアも多い。
かくして、ベテラン社員のキャリアは貴重だが、会社としてはリストラの主対象とせざるをえないということになる。
この貴重な中高年社員のキャリアを活かすにはどうしたらいいか。
前章において、人間の脳は限りなく柔軟であり、鍛え方では老齢になってもその「脳力」はさらに伸びることを示した。
最近の学説によれば、現状に甘んずる中高年者と能力を伸ばしつづける人との違いは、脳における思考回路への対応の仕方だとしている。
いわゆる頑固老人は古い回路を捨てることが出来ず、それにこだわり続けるタイプである。
これに対したえず新しい発想を行い脳力を伸ばしつづける人は、思考回路が古くなればそれを捨て、新しい回路を作り出す頭脳のリフレッシュ機能がある人だという。
この事実を、リストラに迫られている中高年サラリーマンの立場にたって考えてみよう。
転職する、あるいは独立するということは、「現在の会社に蓄積したキャリア」を一応捨てて、一から出直すことである。
いい変えると、新しい環境にあわせて、「強制的」に自分のキャリアというコース(回路)を作り直すことである。
これを現在の会社でやってみたらどうだろう。
自分の持つキャリア、経験、技術、技能、情報などを総点検し、古くなり役に立たなくなったものは思い切って捨てる。
そして、現在とこれからの社内環境、さらには自分の今後の方向性に合わせて自分のキャリアコース(回路)を作り直す。
ここから、自己革新と社内における「自立」に向けてのチャレンジを始めることが出来る。
以上から、現在の会社にとどまりたいという常識型サラリーマンに対しては「まず、組織(会社)の中での自己革新と自立性の確立への努力が最優先する」という結論となる。
ただし、この結論には大きな落とし穴がある。
多くの中高年サラリーマンは回路が古くなった保守型人間である。
リストラの危機に際しては自己革新を思いたつが、その危機が去り会社への残留と決まればまた元の「会社ぶら下がり型社員」に戻る可能性が懸念される。
そして、もう一度危機が訪れると、今度はレッドカードであり会社からは見捨てられる。
これからのサラリーマンは、刻々と変化する社内・社外の環境にあわせて自己革新を継続して行くことが宿命となっている。
これを、「サラリーマン稼業はつらくなった」ととらえないで、「生き生きとビジネスライフを生きて行くための試練」と前向きに考えて行きたいものである。
なお、会社内における能力再開発と自己革新については、以前に述べているので具体的事項については参照していただきたい。
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