「日本的経営」の栄光はいっとき
歴史が浅い日本的経営と人間尊重
従業員中心の経営として世界にもてはやされた日本的経営がこれまで成功したのは、国際環境・経済環境の特殊性によるところが大きい。
いわゆる「日本的経営」の原型が出来たのは、敗戦後の混乱から経済復興の過程の中であり、その背景には第二次大戦中の産業統制、戦後の産業復興という企業政策がある。
それが全産業に波及、日本経済成長の原動力となった。
日本的経営もまた55年体制の産物の一つであったといえる。
しかも、こうした日本的経営が注目され評価されたのは、高度成長の1970年代に入ってからである。
それまでは、むしろ日本的経営の持つ非合理性・非近代性はむしろ批判の対象でもあった。
そして、バブル崩壊、55年体制は崩壊、神話化されていた日本的経営は、一転して全面的に否定しようとする風潮にさえある。
日本的経営とは何だったろうか?
ここで、その特性を要約しておくこととする。
�@ 日本的経営の根底にあるもの
・人間尊重の経営
・長期的視点にたつ戦略経営
�A 人間尊重・従業員中心の経営
・終身雇用制度
・年功序列賃金制度
・企業内労働組合
�B マネジメント特性 ⇔ アメリカ対比
・会社への帰属(全人格的かかわり) ⇔ 会社への部分的・分散的かかわり
・終身雇用制 ⇔ 短期雇用制
・専門化しないキャリア ⇔ トキャリアと進路を専門化
・集団的意志決定(全社の思想統一) ⇔ 個人的意志決定
・共同責任 ⇔ 個人責任
日本経済と日本企業は永遠に成長し続けるという幻想が醒めた現在、こうした日本的経営手法はその実現の困難性、人間尊重といいながら個人を無視する会社中心志向などの矛盾点が明らかになってきた。
会社はサラリーマンにとって終生の安住基盤ではなかった
自分の一生が保証されると信じ一生懸命に勤めあげてきた「会社」は、すでにあなたに「気楽なサラリーマン稼業」を一生保証するだけの力はなくなっている。
そもそも「日本的経営」が成り立ち評価されたのは長い歴史の中では束の間のことである。
それも右肩上がりの高度成長経済、対応する人手不足、東西冷戦構造の谷間に日本が存在していたという奇跡ともいうべき特殊環境がそろって始めて成立しえたのである。
経営環境が厳しくなった現在、多くの企業は「このままでは人件費が会社を破滅させる」として、一斉に雇用制度・賃金制度の改革や中高年対策などに乗りだした。
象徴的なのは金融機関のリストラである。
住専問題を契機に人事制度改定にとどまらず人員削減、給与水準の見直しに迫られている。
これは、中小金融機関だけの問題ではなく最近の日債銀のリストラにみられるように大手銀行といえども余断を許さない情勢になっている。
優遇されすぎたサラリーマン天国崩壊の一例である。
日本のサラリーマンにとって恵まれすぎた時代は、実は長い歴史の中ではほんの一時期に過ぎなかったのである。
休まず、遅れず、働かず、会社に行ってさえおけば、定年までの給料と退職金が無事いただけるという気楽なサラリーマン稼業はすでに過去のものとなっている。
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