余暇社会参加の近道、シニアのボランティア活動
ボランティア活動は、余暇生活の一つの分野であるが、単なる個人としての遊び、趣味だけでは飽き足りない、社会との連帯感を持ちたい、社会的存在感を得たいというシニアにふさわしい活動分野として、注目を浴びている。
ボランティアとは自発的で無償の社会貢献
「ボランティア」という言葉は、「自由意志」という意味を表すラテン語ボランタス(Voluntas)が語源。
通常は、自らの意志で、見返りを期待しない社会貢献のことである。
つまり、他から強制されたり動員されて参加するものではなく自発的行動であることが第一条件で、あくまで主体は自分にある。
その一方、経済的な見返りを求めない無償の行為で、市民生活や社会にプラスをもたらす行動の総称ともいえる。
従来の活動分野は、高齢者や障害者を対象とする福祉型活動が中心であったが、現在は社会教育、国際協力、人権擁護、地球環境保護など活動分野は多岐にわたっている。
ボランティア活動のいろいろについては、活動 分野だけでなく、活動形態、活動場所、活動範囲も様々である。
活動形態では、物品、金銭、労力、技術、こころによる支援がある。
活動場所でも、家庭、地域社会、福祉施設、職域、広域社会、国際 社会とその範囲は幅広い。
こうしたボランティア活動の原則は次のような理念に集約されて いる。
- (1) 自発性(自主性・主体性)
- (2) 無償性(非営利性)
- (3) 公共性(公益性)
- (4) 先駆性(社会開発性)
こうしたボランティア活動は、日本の場合、欧米との宗教的観念の違いもあり、非営利性、公益性などの面で、その発展は容易でないとみられてきた。
しかし、1995年1月の阪神大震災時にみられた若者を率先とする救援活動は、日本においてもボランティアの理念が定着しつつあることを示すものといえる。
ボランティア活動のいろいろ
| 項 目 | 事 例 | |
|---|---|---|
| 1.福祉(老人、障害者) | 介護ボランティア | |
| 2.文化・芸術、教育 | 点訳ボランティア | |
| 3.スポーツ・レクリエーション | オリンピック支援ボランティア | |
| 4.自然・環境保護 | グリーンピース運動 | |
| 5.国際協力 | 国際看護ボランティア | |
| 6.物品による支援 | 品物、製品、車両、会場などの提供など | |
| 7.金銭による支援 | 寄付、募金活動など | |
| 8.労力による支援 | 介助、介護、訪問、送迎、遊び相手、清掃など | |
| 9.技術による支援 | 翻訳、点訳、芸能、レクリエーション指導など | |
| 10.こころによる支援 | 相談、助言活動、教育里親など | |
| 11.家庭で | 翻訳、ホームステイ、盲導犬飼育など | |
| 12.地域社会で | 清掃・資源回収、スポーツ・レクリエーション指導など | |
| 13.施設で | 福祉施設での生活援助、図書館での対面 | |
| 14.広域で | 災害救援、植林・森林の下草刈り、観光通訳など | |
| 15.国際社会で | 国際ボランティア団体の活動への参加など | |
| 16.その他 | 道路清掃ボランティア |
ボランティア活動は難しく考えない
ボランティアとは、自発的で無償の社会貢献活動であると、大上段にふりかざして難しく考えないことである。
特に、シニアの場合、自分なりに少しでも社会に役にたつことが出来ればよい位に気軽に考えて参加すべきなのである。
それが、社会とのつながりになり、生きていることの満足にもなる。
ボランティア活動を、「ボランティア的」とやや幅を拡げて考えてみよう。
生活との関わり方でボランティア的活動をみると、それは三つのパターンに区分される。
第一は、主体的に参加するパターンである。
自分がこれからする行動は、必ず社会に役立つという強い使命感と自負心を持っている。
即ち、自己実現のため、あるいは生きがいという人間の基本的欲求をボランティア活動を通じて追求するパターンである。
代表例としては、御子息のカンボジアにおける死を契機に国際ボランティアに転進した中田武仁さんのケースがあげられる。
しかし、何もこうしたドラスチックなものばかりではない。
身近にも地道な例がある。
市の公園で毎朝黙々とゴミ掃除を続けている年配者がいる。
聞けば、老人仲間のボランティア活動として始めたのだが、いつのまにか一人になってしまったというのである。
そして、自分一人でも動けなくなるまでは働くと、明るく笑顔で答える。
公園の朝の清掃はその人の社会参加であり、生きがいなのである。
これもまた立派な主体性のあるボランティア活動といえる。
第二のパターンは、気軽に市民生活の一部として、ボランティアグループの一員に加わることである。
グループ、公共団体等の呼び かけに応じて参加することが多く、やや消極的活動ともいえる。
しかし、日常生活の中で、ボランティアという社会貢献の時間を持つことは、社会との連帯感、市民としての満足感にもつながる。
日本人の場合、まずこうした自分のできる分野と範囲での活動から始めることが大事と考えられる。
第三は、相互扶助というパターンである。
核家族化した高齢化社会では、高齢者が高齢者の面倒をみるというケースが多い。
今日、介護しているものが、明日介護されることになる社会である。
自分が活動出来る時にワーカーとなり、自分が必要になる時には依頼するといったシステムも必要である。
現在、「時間貯蓄制度」、「ボランティア切符制度」などボランティア精神を体現した、ボランティアネットワークづくりが検討されている。
以上、生活との関わり方から、広い意味でのボランティア活動の三つのパターンをあげてみた。
要は、気軽にボランティア活動に参加することであり、そこからシニアとなってからの新しい人間関係のネットワークが生まれるはずである。
シニアボランティアの活動分野
ボランティア活動の範囲は、海外への技術指導ボランティアから始まって老人のためのホームヘルパーに至るまで、その幅は極めて広い。
その中から、シニア世代の活躍が期待される活動のいくつかを例題として、ランダムにあげてみることにする。
(1)老人のための支援活動
掃除・洗濯・買物等の家事支援、在宅寝たきり老人の介護、入浴サービス、老人ホームへの慰問など。
(2)その他の社会福祉活動
点訳ボランティア、朗読ボランティア、手話ボランティア、障害児ヘルパーなど。
(3)地域社会への貢献活動
道路清掃ボランティア、公園愛護ボランティアなど。
(4)自然保護活動
植樹ボランティア、花いっぱいボランティア、鈴虫の保存ボランティアなど。
(5)次の世代との共生、伝承活動
レクリエーション指導、ボーイスカウト指導、伝統工芸・ふるさとの味などの伝承活動、戦争体験の悲惨さの記録づくり、おもちゃの病院ボランティアなど。
(5)国際協力活動
日本語ガイドボランティア(海外からの観光客対象)、日本語ボランティア(国内在住外国人対象)、海外ボランティアなど。
なお、海外ボランティアの代表なものは、「日本シルバー・ボランティアズ」が派遣する高齢者対象の技術協力チーム。
日本の優秀な技術を求める発展途上国の要請と自分の技術を生かして社会に貢献したいという高齢者の希望が合致した結果である。
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