シニアの仕事(ワーク)はどこにあるか、どう取り組むか
当サイトは、主に中高年サラリーマンを主対象としている。
すでに述べた通り、かつての会社人間にとって、定年後も自分を生々と発揮でき、生きがいを発見しやすい場所は、仕事という場である。
そして、シニアの仕事には、生きがいとしての仕事、自分を生々とさせてくれる場としての仕事、そして生活(再生産)のための仕事という三つのパターンがあることを示した。
この三つのパターンは、必ずしも仕事との取り組み方のレベルを示すものではない。
生活のために始めた仕事がいつのまにか生きがいになったり、とりあえず自分を発揮できる場として選んだ仕事は実は自分にとっての天職であり生きがいになったりする。
つまり、仕事とは発展的な性格のものでもある。
そこで、定年になったが、生活のため、あるいは何もすることがなくとりあえず仕事でも続けようかとするシニアのための仕事の見つけ方から検討を始める。
仕事はある、社会とのつながりに意義がある
雇用情勢はいぜん厳しいが、健康であり、賃金などの勤務条件、再就職先の「格」などにこだわらなければ、仕事は見つけられる。
シニアの継続雇用は期待薄
中・長期的にみれば、若年労働力は不足であり、高齢者の雇用促進は必須の課題である。
しかも厚生年金受給開始が将来65歳に引き上げられることもあり、そのための労働環境の整備が急務となっている。
厚生労働省は、96年度から5ヶ年計画で「総合的雇用環境整備推進事業(ネクスト65推進事業)」を進めている。
これは、職住接近型オフィスや在宅勤務など高齢者が働きやすい勤務形態、導入する場合に必要な施設の整備、雇用管理上のノウハウなどの研究を目的とする労働省の事業である。
一方、企業側にも60歳以降の就業機会延長をにらんだ動きが、大企業を中心に拡がっている。
しかし、その多くは関連会社での再雇用がほとんどである。
例えば、松下電器産業では、通常は60歳定年だが、55歳でいったん退職し関連会社で65歳まで働けるコースを導入している。
また、日本IBMの場合は、本体は60歳定年、関連会社に転籍すれば65〜62歳定年となるといった状況である。
こうした中で、TEC(東洋エンジニアリング)は、97年度から65歳まで契約社員として雇用する制度を導入する。
だが、その内容は50〜54歳の幹部社員が希望し会社も了承した場合であり、60歳以降は1年毎の契約、年金分も含めた年収は契約社員となる前に比べて最大4割は下がるという条件である。
つまり、企業リストラと人件費抑制をも狙った高齢者雇用対策が主眼ともいえる。
このように、大手企業の場合でも、定年退職者の再雇用の条件は厳しい。
ましてや、一般企業における定年退職者の場合は、長年勤めあげた会社からの再雇用、転職先あっせんもあまり期待できず、仕事を継続したければ自分で探すことになる。
適職探しは困難だが、仕事探しはできる
再就職先探しについては、第一部でも触れたが、ここでは、定年退職のシニアの立場から、もう一度その概要を整理することとする。
有力なコネがなければ、職業安定所(ハローワーク)、シルバー人材センター、人材銀行(民間)などの斡旋機関を利用することになる。
(1) 公共職業安定所・・・「ハローワーク」という愛称によりイメージ転換を図り、総合雇用情報センターへの脱皮を目指している。
しかし、斡旋内容的には旧態依然としており、求人先の職種は単純労働が多く、求職者の職能にかかわらず、賃金条件の低いものが圧倒的である。
こうした中にも、高齢者雇用への柔軟な働きもあり、注目される。
例えば、ハローワーク奈良。
92年度から55才から64才前後の中高年齢者2人が一組のペアとなって半日交替や一日交替で一人分の仕事をする制度をスタートさせている。
このシステムだと常時雇用関係とならないため、年金の減額はなく高齢者にとってのメリットは大きい。
(2) シルバー人材センター・・・地方自治体の事業団体。
収入もさることながら、健康や生きがいのため、地域社会における補助的かつ短期的仕事を請け負い、高齢者に紹介する。
会員は原則として60歳以上の健康な高齢者。
職種は建物、駐車場の管理、植木の手入れ、宛名書き、木工作業、伝票整理などが多く、報酬は比較的低い。
また、現役時代の経験、知識を活かせる職種が少なく、ホワイトカラー分野への事業拡大が課題となっている。
(3) 人材銀行(民間)・・・技能者、資格取得者を優遇する傾向があり、特技のない事務系ホワイトカラーの斡旋数は少ない。
また、あったとしても求職者が求人を大きく上回り、60歳以上の高齢者は敬遠される。
以上のように、会社を離れたホワイトカラーには、過去のキャリアをそのまま生かせる適職探しは、なかなか容易ではない。
どんな仕事でも、仕事をすることに意義がある
しかし、会社人間が、定年後の疎外感を克服し、自分を回復する手段の中で、最も速効性のある手段は「仕事の再開」であることはすでに述べた通りである。
しかし、その仕事はこれまでのキャリアからみると適職とはいえず、働く条件も大きく低下するケースがほとんどである。
その仕事をするからには、その仕事をするにあたっての新しい意義をはっきりさせる必要がある。
その意義とは、それまでの家族の生活のため、会社における出世を願ったサラリーマン現役の頃とは異なった意義、つまり、今60歳であればこれから20年以上も生きるであろうシニアライフに対する意義である。
意義といっても、さしあたっての生計費稼ぎから始まって、健康維持とボケ防止、後進教育などによる社会貢献、自己実現など千差万別である。
要は、与えられた仕事の場をその意義に向かって行動することにより、自分にとっていきいきと生きる空間とすることであり、出来ればその仕事の中にシニアとしての生きがいを見出すことである。
こうした意義による動機づけがなければ、せっかく得た職業も意にそぐわない仕事として長続きはしない。
この場合は、会社だけではなく仕事とも断絶するという以前よりもさらに深刻な挫折感に落ち入ることになる。
前向きに考え、前向きに行動することが大切である。
つけ加えると、シニアとなって得た職場で長く働くためには、新しい職場の仲間との共生の姿勢をとることが大事である。
多くの場合は、社長、幹部より年上であり、使いにくいとして敬遠される。
また、後進の指導もいいが、時には昔のやり方の押しつけになることもあり、老害といわれることにもなる。
新しい仲間と協調しあいながら、自分能力を活かしその職場に貢献することである。
以上は、何となく仕事は続けたいとする、どちらかといえば消極的な立場からの仕事探しと、その取り組み方についての検討である。
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