シニアライフの新しい生活スタイル
他律から自律に生活時間を変える。
そして、自律性と拡がりのあるホロニックな生き方を選択する。
この観点から、人生80年時代のシニアの生活領域を整理してみよう。
仕事も余暇も一体化する生活
シニアの生活は、従来の仕事、余暇、休養が融合し一体化するライフステージである。
表面的にみれば、余暇時間が増え、仕事の時間が減少する程度で、サラリーマン時代とはあまり変化がないようなケースも多い。
しかし、シニアライフの基本的違いは、仕事も余暇も一体化した中で、自分の意志で自分が求めている生活領域を自分で選べ、かつ、様々な生活領域の組合せも出来ることである。
つまり、延長されたシニアの長い時間を利用して、生きがい一直線の生き方、あるいは複線型、多段階型、循環型など様々な生き方を試みることが出来るということである。
シニアの生活領域を機能別に類型化すれば、次の四つの領域に区分される。
(1)経済領域…仕事である。 シニアの段階でも現実的には全てが自律的とはならない。
自律度にしたがって、シニアの仕事は次のように区分される。
a 生きがい型・・・天職、あるいはライフワークとしての仕事。
b いきいき型・・・仕事人間の延長線として、とりあえず自分を発揮できる場としての仕事。 最終的に生きがいとなることもある。
C 再生産型・・・生活のための仕事。 出来ることならば、自分を発揮できる場、さらには生きがいとしての仕事へと発展させたいものである。
(2)レジャー領域
a 能動型・・・スポーツをする、野外活動をする、海外旅行をするなど。
b 受動型・・・映画、演劇、音楽会、美術館、スポーツ見物など。
C 発散型・・・友人と酒を飲む、おしゃべりをする、ショッピングをする、ギャンブルをするなど、永続性はないが感情を発散させるレジャー。
d 休養型・・・テレビを見ながらゴロ寝で過ごす、一人で酒を飲むなど、のんびりと温泉で休養するなど。
(3)自己啓発領域
a 教養(学習)型・・・大学に再入学する、文化教室で学ぶなど。
b 趣味型・・・絵画、陶芸などの趣味、踊り・謡曲などの諸芸、園芸など。
C 研究型・・・サラリーマン時代には出来なかった長年の夢の研究に専念する。
(4)社会領域
a 地域型・・・地域におけるサークル活動、地域奉仕など。
b グローバル型・・・国際ボランティア活動、自然保護活動など。
自らが拡げるシニアの生活空間
このようにシニアライフはきわめて多彩であり、多様な広がりを秘めている。
しかし、会社一筋に「会社の仕事」中心に生きてきた定年サラリーマンにとっては、そのほとんどが未知の生活領域との出会いとなり、すぐには入って行けない。
また、会社縁に頼っていた人間関係も長くは続かない。
その結果、退屈、ひとりばっち、何をしたらいいかわからないという「無気力老人コース」に落ち入ることも多い。
こうした危機を克服するためには、どうしたらいいか。
第一は、自分が置かれている状況を正しく自覚することである。
つまり、サラリーマンにとって「定年」とはこれまでの会社を中心とした生活空間 − 「社緑」の世界が終焉する時であり、それと同時にシニアライフに向けての新しい生活空間の構築が始まる時でもある。
そして、このシニアの生活空間とは、会社空間とは異なり、自分を核として自らが主体となって拡げて行く空間でもあることを知らねばならない。
環境が根本的に変わったのだ。
第二は、過去へのこだわりを捨てて、1人の人間として自分を見つめ直すことである。
自分の特性と能力について、何をやりたいか、何が出来るかなど。
人間としての自分についての客観的な棚おろしである。
第三は、これから始まるシニアライフでの可能性の追求である。
多くのシニアについては長くて健康な時間があり、展開可能な生活領域も広範である。
その中で、自分が本当にやりたいものは何か。
自分の持っている能力、健康、時間、経済力でどこまで出来るか。
つまり、「生きがい」という目標の発見であり、それをどう実現するかという具体プランづくりでもある。
第四は、その目標に向けての自分自身の変革である。
具体的には、まず自分の態度・行動を変えることから、それは始まる。
しかし、定年サラリーマンにとって、長年の習慣となった会社人間としての態度・行動を変えることは容易でない。
商社マンから国際ボランティアへと大転身をとげた中田武仁さんのような事例はきわめて稀なケースである。
一般のサラリーマンの場合は、小さなこと、身近なことから変えて行くのが定石である。
例えば、
日常生活のパターンを変え妻との会話の時間を増やす、
一日一時間遊ぶ時間をつくるなどから始まって、1週間に1日は目標のための時間とするなど、行動の範囲を拡げて行く。
要は、消極的自己否定的な自分を、シニアライフで得られるはずの新しい生きがい実現に向けて、積極的で自己肯定的な自分に変えて行くことである。
つまり、自律性のある生き方に自分を変えて行くことでもある。
物理的にも精神的にも拡がる生活空間
シニアライフは、まず、自己の確立が始まりである。
そして、自分自身を核として、生活空間の輪は拡げられる。
その媒体となるのは、「行動」と「こころ」である。
行動という視点でとらえれば、次のようにシニアの生活空間は拡がって行く。
自分 → 妻、そして家族
→ 地域社会
→ 日本社会
→ 国際社会
→ 地域環境
一方、物理的行動空間だけでなく、人間同志の心のつながりによる精神的に空間を拡げて行くこともできる。
自分 → 心の通いあう仲間
→ 小さい仲間のサークル
→ 大きい仲間のサークル
→ 仲間同志のネットワーク(国内)
→ 国際ネットワーク
老害を排除しつつ共生を目指せ
「共生」が21世紀社会に求められる基本テーマである。
特に、21世紀は高齢者が当り前となる高齢化社会であり、若者・一般成人・高齢者それぞれに調和のとれた共生の社会システムの構築と社会風土の醸成が重要課題となっている。
ところで、共生のための社会風土醸成という視点で、現在の高齢者達の生き方をみれば、二つのグループに区分される。
第一のグループは、過去にこだわり、そこから抜けだせないグループである。
関心は主として過去のことであり、これから新しく何かをやろうとする気持はなく、過去のしがらみから抜け出せない。
このグループはさらに二つのタイプに分かれる。
第一のタイプは、「老残」組である。
過去の思い出にひたり、世間から無視されている自分の不遇をぶつぶつ嘆いているばかりという、これまでの老人に多くみられるタイプである。
第二のタイプは、「老害」組。
過去において獲得した権益にしがみつき、死んでもそれを離そうとしない。
そればかりか、すでに過去の遺物化しつつある権力を背景に威張る、自分の意見を押しつける。
常に「今どきの若い者は駄目だ」といい、若者をいびることに生きがいを感ずるようなタイプであり、生きがいの履き違えもはなはだしい。
政治家、一部の高齢経営者によく見受けられる。
このままでは、このグループは21世紀共生社会において疎外あるいは排除され、やがては「老醜」をさらすことになる。
これからの生き方を根本的に考え直す必要があろう。
もう一つのグループは、すでに述べた通り過去へのこだわりを捨てて、新たなシニアライフへのスタートを切っているグループである。
いきいきと生きられる場を発見し、充実した生活を送りながら、自分なりの生きがいを成就させることになろう。
生きがいとして、21世紀共生社会への貢献
私見であるが、これからのシニアにもっともふさわしい生きがいとは、21世紀共生社会への貢献ではないかと考えている。
現在のシニアは、戦争のない平和の時代、成長する経済、無制限に近かった地球資源の消費など、恵まれすぎたといえる環境で何十年も過ごしてきた。
しかし、これから始まる21世紀社会には、環境破壊、食品公害、急激なスピードで進展する高齢化社会のヒズミなど、あまりにも深刻な課題が多い。
今、シニアに求められるのは、恵まれた時代を過ごさせてもらった社会、地球への恩返し、あるいは環境破壊等への償いではあるまいか。
環境保護・医療等の国際ボランティア活動、介護等の社会福祉活動など、経済面、時間面での束縛から開放されたシニアライフでは、それが可能になる。
以下、シニアライフをどう展開するかの具体論に入る。
当サイトは、社会とのつながりがシニアの生きがいであると考え、仕事(ワーク)という生活領域、多彩な余暇活動の中からは、ボランティア分野、それに自己啓発分野を重点として取りあげることとする。
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