当サイトの更新情報をお届けします!フィードの購読はこちらから。
経営として成功へのステップ
往々にして個人が独立して事業に取り組む場合は、自分の好みとかこれをやりたいというロマンが優先して事業化を始めることが多い。
もちろん、これは決して悪いことではない。
しかし、それが投資あるいは運営管理といった経営面での甘さとなり、独立事業失敗につながるケースもあることも事実である。
個人が始める事業だからといっても、それは道楽やボランティア活動ではない。
事業である以上、失敗は許されない。
そこで、経営的視点を中心に、独立に際しての成功ポイントを検討することにする。
基盤が弱く碓実性に欠ける個人の独立創業
企業が進める多角化開発と個人の独立創業の間には根本的に異なるものがる。
それは、企業の場合は本業という確固たる事業基盤があり、そこからスタートできるということである。
これに対して個人創業の多くは、自分と自分のわずかな資産以外に事業の基盤がないのが通常である。
会社から独立して、これから独立しようとするサラリーマンはこのことをはっきり認識しておく必要がある。
ゆとりのある企業の多角化事業開発
個人創業に比べると、企業の多角化事業開発は開発のあらゆる局面でゆとりがあり、成功の確率性の高い開発を行っている。
その特性には次のようなものがある。
・事業アイデアは体系的に、かつ広範に収集している。
・こうしたアイデア群の中から、将来有望な事業、自社の経営資源を最大に活かせる事業、収益性の高い事業で、しかも自社の経営戦略に適合するといった有力候補を効果的に絞り込むことが出来る。
・絞り込まれた有力候補については、フィジビリティスタディ(事業化評価)などにより、客観的で緻密な評価を行い、より確実性の高い事業化決定を行うケースが多い。
・開発にあたって人材を集めやすい。
適材が居れば社内スカウト、社外からも企業の信用力でスカウトが容易になる。
・また、会社の信用力により資金調達、ブランドカにより新事業に対する顧客吸引が容易である。
・本業が順調であれば、ゆとりのある開発が出来る。
例えば、長期 的採算性が証明できれば、単年度収支で3年目から黒字でよいとするなど。
オーナーとしての執念が強味の個人創業
これに対し、個人が独立して事業を興すとなると、会社の場合とは全く逆になる。
事業基盤といえるものは自分と自分のわずかな資産だけである。
そして、頼れるのは自分だけであり、自分で全部やらなければならない。
そこで、これから始める事業に自分の全てを投入せざるをえない。
また、生活のためには、一日も早く事業を軌道に乗せねばならない。
そこには、企業の多角化開発にみられるような余裕はない。
逆に、このゆとりのなさが、サラリーマン社員が推進する多角化事業にはない強味ともなる。
即ち、オーナーとして自分の事業をどうにかしようとする執念である。
ゆとりがないだけに仕事に真剣に取り組む。
オーナーとしての夢とロマンがあり、個人事業ならではのパーソナリティも発揮できる。
これらは顧客にとっての強力な魅力となりうる。
もっとも、フランチャイズ事業などに参加した場合、この魅力はあまり発揮できないが。
ところで、問題はその反面にある事業に対する「思い込み」の激しさである。
これについては先に指摘した通りだが、事業に対する執念が強いのはいいが、その事業の客観的な姿が見えなくなることもある。
例えば、事業を始めるにあたっての動機とその経過を考えてみることにする。
一般的ケースとして、ほとんどの人はライフワークといわないまでも、自分で是非やりたいという事業や仕事があり、それについての「思い」がある。
人生の転換期にたったような時、その事業の有力情報が舞い込む。
しかも、それが自分の能力、性格にぴったりだ、自分の資産でも何とかなると知ると、「思い」が「思い込み」へと跳ね上がる。
「これぞ、自分がやらねばならない事業」と思い込みも激しくなり、他人の意見にも耳を傾けないような事態も起こる。
ここに、個人事業の創業が確実性に欠ける背景がある。
たとえ小 規模であっても、創業にあたっては経営の定石は確実に踏まなければならない。
創業成功への三つのステップ
経営として成功させるためには、創業にあたって次の三つのステップが必要である。
(1) 様々な角度からの、事業そのものとその成立性についての客観的 評価
(2) 創業にあたってのネック・リスクとその打開策も十分に検討した事業計画書の策定
(3) 創業にあたって経営形態の決定
創業決断にあたってのチェックポイント
個人事業にも様々な業種・業態がある。
ここでは、その一般的ケースについて、創業決断にあたってのチェックポイントをかかげるものとする。
(1)事業そのものについてのチェック
・事業の成長性(業界全体として)
・事業全体の成長性如何にかかわらず、将来的に発展が期待される事業コンセプトが構築できるか。(有望なスキマを発見できるか)
・目指す事業の経営特性を十分に把握しているか。
・事業の収益性はどうか。
(2) 市場についてのチェック
・対象とする顧客とその特性は何か。
・顧客の求めるニーズは何か。 それに対応する商品・サービス等のコンセプトメーキングは出来ているか。
・販売エリア、販売ルート等の設定は出来ているか。
・顧客は十分にいるか。 またそれを開拓できるか。(狙いとする地域、ルートにおいて)
・顧客、地域市場等の成長性はどうか。
(3) 競合度についてのチェック
・競合先・競合商品は。 それはどんな特性があり、その強味は何か。
・業界・地域等の競合構造はどうなっているか。 競合度は強いか、弱いか、これからはどうなるか。
・自分の事業は何を特徴として参入するのか。 その強味、差別化ポイントは何か。 シェア、あるいは地域ランクの目標をどこにおくか。
・その強味は圧倒的強味になりうるか。 そして将来にもわたってその強味を維持することが出来るか。
・自分の事業・商品・サービスの弱味は何か。 それは致命的なものにならないか。 どうしたらそれを克服できるか。
(4) 事業資産についてのチェック
(注)事業資産評価の一例として、遊休地を活用した場合の土地についてのチェックポイントをここでは示しておく。
・土地の面積、地形、接道条件など狙いとする事業に適合するか。
・活用にあたって、法的規制、周辺状況などに制約条件はないか。
・道路条件、後背市場など立地条件はその事業に適合するか。
・土地環境、立地条件は、今後変化しないか。 変化するとすれば、それはその事業にとってプラスとなるか、マイナスとなるか。
(5) 自己適性についてのチェック
・自分の性格・能力と事業との適合性はどうか。
・事業を始めるにあたって、その事業に対する知識・経験・技術はどれ位あるか。
・不十分とすれば、それをどう克服するか。
・事業を起こすにあたって、家族の諒解を十分にとっているか。 また、家族の協力を得られるか。
(6) 創業にあたってのチェック
・どれだけの投資が必要か。
・必要資金のメドはついたか。
・事業収支を十分にチェックしたか。 リスクはないか、リスクがあればそれにどう対処するか。
・事業開始はいつを目指すか。 準備期間は十分か。
・それまでに、設備、人、ノウハウの取得などが間にあうか。
以上、創業にあたっての主なチェックポイントをかかげた。
しかし、このチェックポイント全てにわたって肯定的な解答が出てくるような独立事業はありえない。
要は、事業化にあたって問題点を洗い出し、それにどう対応するかによって、失敗のない事業づくりを進めることが目的である。
即ち、このチェックリストの使い方の第一は、「ノックアウト条件、つまり、この事業が失敗すれば何が原因か」というその事業が持つ致命的な弱味、リスク、ネックを発見することにある。
そして、それをどうやって克服するかを検討することである。
もし、それが克服できないとすれば、どんなにやりたくても経営面からはその事業は断念すべしという結論となる。
使い方の第二は、成功条件を明確にし、さらにそれを発展させるために使うことである。
自分の事業の強味、競争先に対する差別化ポイントを洗い出し、それを組み合わせるなどによりさらに魅力あるものに創りあげる。
これから始める事業のセールスポイントづくりにも役立つはずである。
この創業についてのチェックポイントは、客観的な事業化についての評価とチェックと同時に、以上のように前向きにも活用していただきたいと考えている。
事業計画は具体的につくる
この事業をするという決断が出来れば、今度はそれをどう実現して行くかという「事業計画」の策定の段階に入る。
事業計画書は一般的には、次のような構成になる。
- (1) 事業ビジョン
- (2) 基本構想(マスタープラン)
- (3) 設備投資計画
- (4) 資金計画
- (5) 人員計画
- (6) 営業計画
- (7) 収支計画
- (8) 資金回収計画
- (9) 運営体制と運営計画
- (10) 事業化スケジュール(準備計画)
- (11) 付属資料…市場調査結果、事業化検討経過の要約など
この事業計画書は確固たる見通しに基づいて作成しなければならない。
希望的観測や皮算用では駄目である。
事業計画は、その作成過程も大事である。
それまでは抽象的にしか思えなかった事業の姿が、数値などの検討により具体的に整理され、はっきりとした形になってくる。
すぐれた事業オーナーは通常収支計画等については三通りのコースを用意しているといわれる。
一つは「晴予算」、最もうまく行くケース。
二番目は「雨予算」、最も厳しいケース。
三番目はその中間にある最もありそうなケースである。
これから新しく始める新事業の先行きを見通すことは容易ではない。
いくつかのシナリオを用意し、困難な事態が起こった時、ただちにそれに対応できるような心の準備はしておきたいものである。
経営形態を決める
独立する場合、個人としてスタートする場合と、会社を設立するという二つの方法がある。
事業規模を将来大きくしたいと考えている場合、社会的信用が欲しい場合、税務上の特典を出来るだけ活用したい場合などは、会社設立が望ましい。
会社には、株式会社、有限会社など4種類がある。
ここでは、若干実務的にはなるが、株式会社を中心に会社設立の概略について触れておくものとする。
(1) 会社の商号と目的を考える(商号については複数以上考えておく)
(2) 各地域の法務局に出頭し登記官のチェックを受ける(登記する区市町村で同じ業種に同じ商号はないか、目的に問題はないかをチェック)
(3) 会社定款作成
(4) 公証人役場での定款の認証
(5) 金融機関での株式発行手続き
(6) 必要資金は、資本金が株式会社で1,000万円、有限会社で300万円が最低必要である。
これに設立コストとして、株式会社の場合は登録免許税、公証人認証料、金融機関手数料、代表取締役印作成料などで約30万円かかる。
有限会社の場合は、これよりも5〜10万円少ない。
なお、こうした設立手続きは文献等もあり、個人でも容易である。
時間等に制約のある人は、司法書士に依頼することもできる。
その場合はさらに手数料15万円ほどかかることになる。
独立を目指しての実力づくり(事例)
中高年がいきなり独立するには、以上のようにかなりの無理と飛躍が伴う。
こうした中で、独立予備軍ともいえる中高年層が集まり、自立に向けての実力づくりを行っている集団がある。
最後に参考までに紹介しておきたい。
その集団は「グループ企画破壊」と称するサラリーマン頭脳貸出会社。
その母体は1991年発足の異業種交流会「アーバンクラブ」、上場企業を中心に153社、部課長600名という日本最大といわれるミドルのネットワークである。
同クラブでは定例のセミナーを開催する以外、会員の発案による同好会活動も活発である。
グループ企画破壊も実は同好会の一つ「開発プロ研究会」を発展させたものである。
登録メンバーは大企業を中心とする120名の現役ミドル。
クライアントの要請に応じて、新製品開発から施設のコンセプトづくりと運営、事業ビジョンの策定、教育研修などのコンサルティングを行っている。
独立予備軍ともいえる企業内エリートスタッフは、専門別に経営、人事、経理、営業、マーケテイング、技術などを8つのチームに登録されている。
仕事は原則としてアフター・ファイブに行うことを原則としており、会社の業務に支障をきたすことはないとしている。
クライアントのコストは経営コンサルタント会社、シンクタンク等のそれより大幅に下回ることもあって引合いは活発だ。
95年3月に発足。 100件もの引合いがあり、そのうち40件を手掛けているという。
中堅・中小企業から依頼が主体である。
「社外の仕事を他社の人とチームを組んで行うことで、自分の実力が端的に見えてくる。
自社内の仕事とは違った熟練度が求められ、こうした他流試合の成果は、ミドルにとって大きな自信になる」 と同グループ代表の大東敏治氏は語っている。
大東氏によると大企業にはいろいろのタイプのエリートがいるが、そのいずれも社内の仕事には自信があるが、社外で自立して仕事をするには不安を抱いている。
同グループでの仕事は実力のブラッシュアップとなり、自立へのきっかけにもなるとしている。
個大事業による独立
経験がなくても独立は出来る
専門分野での独立をはたせなくても、独立のチャンスはまだいろいろある。
先に示した日本ユニシスの事例でも、ラーメン店、コンビニエンスストア、クリーニングチェーンから碁会所に至るまでの様々な個人事業が独立のために選ばれている。
これらの多くはこれまでのサラリーマン生活とは無関係で、自分にとって全く経験のない事業分野への挑戦である。
こうした個人事業の場合、運営が単純であるもの、単純とはいかなくても運営がシステム化され、業務もマニュアル化されている事業が多い。
つまり、事業ノウハウ、事業経験がなくても、フランチャイズチェーン等に加入することにより、比較的容易に事業をスタートさせることが出来るということだ。
あとは、事業資金の問題となる。
それに、その事業に使える土地と建物といった経営資産があればなおよいということになる。
フランチャイズにより参加しやすくなった個人事業
フランチャイズシステムとその特性
フランチャイズシステムとは、商品やサービスのフランチャイズ権を持つチェーン本部会社(フランチャイザー)が加盟店(フラン チャイジー)にブランド使用権・販売権を与え、商品・資材の供給 や経営指導を行う事業形態のことである。
業種をみればコンビニエンスストア、スーパー、専門店などの小 売業、ファーストフーズ、ファミリーレストラン、ホテルなどのサービス業、不動産業に至るまで、多くの業種・業態にわたっている。
有名なところでは、セブンイレブン、マグドナルド、デニーズ、つぼ八、ダスキングループなどがすぐあがってくる。
事業規模をみても、大は大型スーパーのダイエー、ホテルのホリディ・イン、小はラーメン店、DPE店までというように多彩である。
フランチャイズは発展しつづけている
日本フランチャイズチェーン協会の調査によれば、日本のフランチャイズは依然成長を続けている。
チェーン数ではかなり伸びており、店数、売上高ともに不況下にあっても成長傾向を示している。
業種別にはサービス業の伸びが目立っている。
なお、業種別にみたチェーン分布をみると、
売上ではコンビニエンストアは3兆94億円で圧倒的な1位、
次いで家庭電器用品、カー用品、総合スーパー、ハンバーガー・サンドイッチの順となっている。
店舗数では学習塾・各種教室・スポーツクラブは29,000店で第一位、
次いでコンビニエンストア22,900店、以下クリーンサービス、すし・弁当・おにぎり、ラーメン・ぎょうざの小型事業が続いている。
こうした多彩な業種・業態にわたるフランチャイズシステムの発展は、脱サラなどの「素人」でもこれらの個人事業への参加を容易なものとしている。
フランチャイズ加盟の進め方と留意点
個人事業による独立を図る場合、特にノウハウや経験がないとすれば、まず、フランチャイズへの加盟を検討することが多い。
そこで、フランチャイズ加盟の進め方、選定・加盟にあたっての留意点など、以下に要約しておく。
フランチャイズ加盟までのステップ
- (1) 加盟募集資料収集と検討
- (2) 加盟有力候補選定
- (3) FC本部訪問(事前調査。概要把握)
- (4) 事業への適性、資金力などの検討
- (5) 既存加盟店訪問
- (6) 加盟申し込み
- (7) 本部面接
- (8) 立地選定
- (9) 事業計画書の作成・検討
- (10) 加盟契約書の確認
- (11) 加盟契約書に調印
- (12) 店舗工事・従業員の教育研修
- (13) 開店準備
- (14) 開店
(注)以上は小売店、または飲食店を想定
加盟にあたっての留意点
加盟にあたって、最も留意しなければならないのは、契約内容のチェックと加盟店訪問による実態把握である。
特に、契約書はPCシステムにおける本部と加盟者の関係を全て網羅しているものであり、加盟後の変更は許されない。
納得がいくまでの念入りなチェックが必要である。
また、加盟店に対する訪問調査はチェーンの実態を把握する上での最も有効な手段である。
本部の説明だけでは把握できない具体的事実も分かる。
個人事業成功・失敗のポイント
このようにフランチャイズシステムの発展もあり、個人事業はずいぶんと親近感のある始めやすいものとなっている。
しかし、このことを逆に考えてみると、「失敗」という落し穴にも簡単にはまり込みやすくなったということでもある。
そこで、フランチャイズ加盟も含めて、個人事業の成功・失敗のポイントを次に考えてみることにする。
生き甲斐となる事業を選ぶこと
第一のポイントは、生き甲斐となる事業の選択である。
つまり、これから始めようとする事業そのものに意義を感じていること、その仕事が好きであること、できればその仕事が得意であることである。
中高年になってからの独立である。
好きであり、生き甲斐となる事業の選択が最も重要である。
格好のいい事業、楽な仕事、儲かる事業というだけでは長続きはしない。
最初は順調であっても、いつかは経営の危機が訪れる。
また、スランプに落ち入る時もある。
そんな時、その仕事が好きであり生き甲斐に感じていなければ、それを乗り越えることは困難である。
1年程前、私の若い友人が脱サラし、リサイクルショップを始めた。
リサイクル事業は市場も未成熟、ショップ運営のノウハウも整備されていないこれからの事業である。
そしてリサイクルというと時代の先端的なイメージがあるが、事業としては決してキレイナ商売とはいえない。
すでに、その友人はいくつかの困難に直面している。
まず、この未知でありキレイともいえない事業を始めるにあたっての奥さんの説得。
そして、始めてはみたものの地域の人々にはわかってもらえず、売れない日々も続いた。
こうした困難を乗り越えて事業を軌道に乗せることが出来たのも、やはりリサイクルという仕事が好きであり、生き甲斐を感じているにはかならない。
恰好にこだわるな
「恰好」をつけるなということは、中高年の独立に際して重要な教訓である。
一般的に、多くの脱サラ組が最初につまづくのは、形式にこだわるからとされている。
中でも、中高年者の場合は過去の栄光や地位へのこだわりもあり、店舗、事務所等への投資が過大になる傾向に ある。
事業にとって必要な投資はけちってはならないが、必要以上の店舗の内外装、オフィススペースなどへの投資は、資金がよほど潤沢 でもない限り行うべきではない。
そして、金は大切に使え
脱サラ中高年の多くは、自分の退職金を事業資金として注ぎ込むことになっている。
退職金のようにまとまった資金が手許に入るのは、ほとんどの人にとって生涯二度とはない。
適確な事業計画、資金計画でこの金は大切に使わなければならない。
ここで一つ気になることがある。
早期退職優遇制度の退職者の独立への影響である。
第一には、この制度により独立をいそがされることになり、慎重さを欠いた安易な事業選定になりはしないかという懸念である。
第二にには、退職金の割増加算の問題。
資金が増えるのはよいが、予定以上の資金収入の結果、独立にあたっての気の 緩みが生じ、投資面、運営面での甘さが出はしないかという懸念である。
ただし、こうした懸念が生ずるのは、早期退職優遇制度等の恩雇にあずかれる大企業に勤めていたごく一部のサラリーマンだけで磨 る。
中小企業では、逆の事態が、今おこっている。
例えば、中小企業退職金共済制度加入企業の場合は資金運用利回りの引き下げに伴う制度改訂が問題となっている。
改訂前に比べて 退職金は2〜3割の減額なるという。
端極な計算例では、改訂前1,760万円の退職金が改訂の結果、35%減の1,150万円になるケースも出てくる。(全労連が労働保険審査会に審査申し立て中)
このように、勤める企業によって、退職金も計算通りならず、あてにならない。
退職金は大事に使わなければならない。
狙いとする事業は裏の裏まで調べる
これから始めようとする事業については、裏の裏まで知る必要がある。
そのたりには、見る、聞くだけの調査ではなく、自分で実際に働いてみるといったより突っ込んだ具体的調査が大切である。
以下、フランチャイズ加盟を例として調査の手法を検討する。
フランチャイズシステムにより個人事業は参加しやすくなったとはいったが、フランチャイズを主催する企業は千差万別である。
中には、加盟金詐取目的のチェーン、倒産するコンビニエンスチェーンがあるなどリスクもつきまとっている。
それだけにいろいろな角度から調査し、納得できる事業、信頼できる提携先を探し出すことが独立成功の第一歩といえる。
フランチャイズ加盟にあたっては、本部の説明を聞く、既存の加盟店訪問しヒアリングするなどのステップがあった。
特に、加盟店については単にヒアリングするだけでなく、実際にそこで働くことをおすすめする。
「自分は将来このチェーンに参加することを計画しており、その勉強のために修業させて欲しい。 時給はアルバイト900円の半額でもいい」などと頼みこむことだ。
実際に働いてみると、事業全体を具体的に把握できるだけでなく、そのチェーンの裏にあるものまで知ることができる。
そして、それだけでなくその事業に対する自分の適性もわかり、自分が人生を賭けるに価いする事業であるかどうかの判断もつく。
即ち、事業の単なる外見や、チェーン本部から提示される事業のモデル数値だけでは、その事業の可否についての判断はつかない。
その事業の現場に実際立って始めて、その事業の姿が本当にわかり、その事業を行うべきかどうかについて正しい判断が出来る。
事業は経営である
好きだから、社会的意義があるからといっても、事業は道楽でも ボランティア活動でもなく「経営」である。
企業としての採算を守り、経営を維持するという「経営としての事業の進め方」をしなければならない。
当然のことだが、これは意外に難しい。
これは、個人事業のみならず、スペシャリストとしての独立、ベンチャー企業の創業等にも共通するものである。
いずれ別の機会でさらに詳しくとりあげるものとする。
フランチャイズ事業事例と脱サラ中高年オーナーの課題
この項の最後に、中高年者の希望も多いあるフランチャイズ事業の事例で、FC主催企業側からみた、脱サラ中高年オーナー者の課題を紹介しておく。
紹介するのは、サンドイッチチェーン「日本サブウェイ」のケース。
米国式のサブマリン型サンドイッチが主力商品で、北米を中心に1万店のショップを展開、日本には92年に上陸している。
同チェーンの場合は、脱サラ組の個人オーナーが3割で、他のファーストフードチェーンに比べると個人参加が多い。
個人オーナーが多いのは、調理が簡単で体力を要しない、初期投資が他のファーストフードチェーンと比較すると少いなどの理由による。
投資額が少いのは、火・油を使わずに調理が出来るので厨房設備の投資負担が少いことによる。
ちなみに、加盟にあたっての初期投資の目安は契約金を含めて2,500〜3,000万円。
借店舗の場合は保証金などを加えて3,500〜4,000万円といったところである。
脱サラ組の多くは、金融、電機・コンピュータなどからの転進者。
飲食業経験者はほとんどいない。
また、年代的には20代後半から30代、40代、50代と幅広い。
20代、30代は独立への夢の結果であり、40代、50代になると企業のリストラを契機にという脱サラ組が多い。
しかし、共通していることは、組織の中で自分を活かして行くことへの限界に突き当り、独立への道を求めたということである。
フランチャイズ主催企業側からみた脱サラオーナー、特に中高年オーナーについての課題は次のようになる。
永年のサラリーマン生活に染みついた組織への依存心が、真の自立を妨げているというのだ。
組織という信用の後ろ盾は全てなくなった。
自分で商売をやるということの責任の大きさ、独立して成功するチャンスの裏には必ずリスクを伴うなど、頭ではわかってはいるが、いざとなると腹をくくった行動が出来ない。
問題がおこれば、すぐ本部に依存するか、どこかに責任を転嫁しようとする。
つまり、事業のオーナーとしての自立がなかなか出来ないということである。
パート・アルバイトの活用、資金繰りのノウハウなど技術的面は時間をかければ体に叩き込むことが出来る。
しかし、永年の習慣で身体に染みついて頑固にはなれようとしないのは「組織への依存心」だとしている。
ともあれ、6ヶ月、1年、人によってもっと長くかゝることもあるが、人間には順応性と蘇生力があり、最終的にはみんな事業オーナーとしての自己変革に成功しているとは言っているのだが。
コンサルタントの仕事をしているとよく聞かれる言葉がある。
「何か、楽にそして確実に儲かる事業はないか」という言葉である。
それにはこう答えることにしている。
「黙っていても儲かるような事業はない。
儲かるように仕事は自分で創って行く以外にない」。
つまり、サラリーマンで駄目だっから、安易に独立しようと考えないことである。
そして、独立すると決めたら、それに向かって自己革新を行い、サラリーマン時代以上の努力をする覚悟が必要だということである。
「いい仕事」による信頼が成功ポイント
脱サラし、現在活躍中の経営コンサルタントの実況はどうだろうか。
その多くは一人で活動・している個人のコンサルタントで、そのやり方は千差万別である。
ただ、共通している成功ポイントは「いい仕事をする」ことに徹していることである。
そして、いい仕事の成果が次の顧客を呼びおこすという結果となっており、このいい意味での連鎖反応が事業を支える基盤となっている。
以下、こうした個人コンサルタントの主な事例を紹介しておく。
独立後15年、中小企業を対象にコンサルタント業務を継続
やり方は簡単。
クライアントの紹介によるコンサルティング業務の受注による継続である。
「顧客の満足をいただけるいい仕事」をベースとしている以外に、取りたてて営業活動は行っておらず、事務所も構えていない。
ただ、かつてのクライアントも含めた社長会が組織されており、情報交換だけでなく、受注のための重要ルートとなっている。
顧客との信頼関係が事業の安定基盤といえる。
独立後10年、特定業界の流通に関する専門コンサルタント
かつては、有力消費財メーカーのスーパーバイザーであり、問屋、小売店等への経営アドバイス等を行っていた。
そのキャリアを生かしてその業界を専門とする流通コンサルタントとして独立。
業界誌等への執筆、流通セミナーへの出講等も多く、業界における流通問題のエキスパートとして評価されている。
なお、事務所は都心の古いビルにある。
業界のたまり場としての狙いもある。
事務員はおかず、奥さんがサポートしている。
独立後5年(その前にコンサルティングファームに3年勤務)、
中堅・中小企業を対象とするマーケティングを専門
受注パイプの第一は、かつて所属していたコンサルティングファーム時代の顧客とその紹介。
かつての実績による信頼が基盤である。
第二のパイプは、独立以前から形成していたコンサルタント仲間のネットワーク。
経営全般、財務・経理、生産、人事・労務などの専門コンサルタントはいるが、マーケティングのスペシャリストはいない。
相互に補点しあう関係にあり、受注の安定化に役立っている。
なお、以上の事例に取りあげた3名のメンバーは、現在60才前後。
45才、50才、55才という中高年になってからの独立である。
また、以上は個人コンサルタント独立の事例であり、もちろん個人では事業としては限界がある。
事業としてみれば、コンサルティング事業の企業化が次のテーマとなり、それは一種のベンチャービジネスの創業となる。
ベンチャービジネスの起業については次の機会で説明する。
以上、経営コンサルタントを事例を示したが、こうしたスペシャリストとしての独立は、ホワイトカラーのイメージにも合致し、取り組むことには抵抗感がない。
しかし、この職業のためには高度な知識、能力、資質が要求される。
この職業を自分のものとし、さらにはそれを継続発展させるとすれば、たえざる自己革新と能力開発の努力を継続して行かねばならない。
この職業を「天職」と思わなければ、スペシャリストとしての仕事を長く続けることなどとうていできることではない。
経営コンサルタントにみる独立成功のポイント
コンサルタントとしての独立のケースによりその成功・失敗のポイントを考えてみることにする。
経営コンサルタントなどスペシャリストはホワイトカラーのイメージに適合し、1人でも活動できることから独立して明日からでも仕事が始められそうである。
しかし、いざ始めてみると高度な能力、資質、たえざる自己啓発を求められる厳しい職業でもある。
以下、経営コンサルタントを事例にスペシャリストという職業の特性とその成功ポイントを探るものとする。
コンサルタントとしての能力・資質があるか
経営コンサルタントとして独立を決断するにあたって、何よりも大事なことは自分の資質、能力についての客観的判断である。
経営コンサルタントといっても幅は広い。
「経営コンサルタント」と一般的に言われてるものは、次の三つのタイプに区分して考えている。
●総合型……経営を指導する
●スタッフ型……人事システムを提案、マーケティング調査を行うなど
●教育訓練型……もちろん、三つのタイプの業務を複合的に行う場合も多い。
そこで、あなたの能力・あるいはキャリアは、どのタイプに適性があるかを、まず判断しなければならない。
しかし、経営コンサルタントとは人をリード出来て始めて成立する職業である。
つまり、スタッフ型にしろ教育訓練型であれ、相手の会社に行き、その経営者・幹部・社員をリードし、経営を正しい方向に導いていかねばならない。
あなたにはその資質があるか、どうかである。
コンサルタントとしての資質の主なもののいくつかを次にかかげておく。
(1)「経営」についての知識とスキルが十分か。そして「プロ」として通用するものがその中にあるか。
(2)企業活動そのものが好きかどうか。そしてそれをよりよいものへと改善、発展させて行くことに生き甲斐を感ずるかどうか。
(3)変化の激しい企業内外環境についての情報を敏感にキャッチしているかどうか。
また、変化に対応してタイムリーに相手会社に対して戦略提案、改善提案が出来るか
(4)書く、話すなどの表現力は十分であるか。 また、自分が正しいと思ったことを相手に納得させるリーダーシップ、人間性に自信があるか。
以上、資質の中でも特に重要なものについてあげてみた。
また、中高年サラリーマンの場合には、さらに次のような留意点が追加される。
(1)経営(経営者)の立場からのものの見方と判断が出来るかどうか。
つまり会社従属型人間から脱皮できているかどうかということである。
それが出来ていなければ、独立したといっても相手企業のスタッフ代行業にとどまり、真のコンサルタントとしての自立とはいえない。
(2)経営コンサルティングに関連する業務を実務として経験しているかどうか。
例えば、関連企業等の経営指導経験、各種プロジェクトのリーダーとしての成功体験などである。
中高年になってからの独立である。 独立したばかりという甘えは許されない。
相手企業は始めからベテランコンサルタントとしての活動と成果を期待している。
あなたはあなたのファンを何人獲得できるか
経営コンサルタントとして独立にあたってはいろいろな準備が必要だ。
まず、コンサルタントとしての学習。
例えば産業能率大学に通学 する、中小企業診断士の資格取得のため勉強するなど。
そして、機が熟して事業設立への準備。
事務所開設、事務員の手配、PR活動…。
準備は周到に行うにこしたことはないが、経営コンサルタントとして独立にあたって、最も重要なことを忘れてはならない。
それは、あなたには何人のお客、つまり、経営者のフアンがあなたに何人いるかということである。
個人としてスタートする場合で考えてみると、少なくとも必要経費と家族の生活費のメドは最低でもつけておきたい。
これを、あなたのフアンである経営者とその企業により確保する。
逆にいえば、最低何人のあなたのフアンが必要かという目標を設定し、それが、達成できた時を独立のタイミングとすることも一つの考えである。
即ち、独立にあたっての最大の重要事項は、あなた自身の能力、人間的魅力に対するフアンを何人準備できるか、ということである。
こうした最低の保証があれば、最初の1年は友人の会社、サラリーマン時代の関係先企業などをかけずり回れば、プラスアルファのコンサルタントの仕事は拾い集めることが出来る。
しかし、これは保険の外交のようなものであり、次の1年からが問題だ。
問題の第一は1年目のお客が2年目も続くかということである。
これには、あなたがコンサルタントとしてあげた成果の問題もあるし、相手企業の事情もあり簡単ではない。
第二は、その間に今度はコンサルタントとして実力により新しいお客の開拓が出来ているかどうかである。
このように、コンサルタントの仕事を成功させるためには、能力、資質だけではなく営業など相当の経営努力も求められる。
コンサルティングの魅力と難しさ
経営コンサルティングは必ずしも理論通りではなく、通り一遍の、例えば中小企業診断士に合格した程度の知識だけではなかなか通用しない。
これが、コンサルティングの難しさであり、同時に魅力でもある。
例えば、中小企業に対するコンサルティングでは、総合型の能力と資質が求められる。
つまり、経理部門だけを指導するとしても経理についての専門知識だけでは本当の経営指導は難しい。
経営全体を見る眼が必要である。
また、一つの改善提案を行いそれを実際に推進するためには、まず経営者を説得し、改善の責任者となる幹部を洗脳し、さらには一般社員をやる気にさせなければならない。
実践によって成果は出る。
そして、具体的成果が出て始めてそのコンサルティングは評価される。
次に、中堅以上の企業を対象とする専門テーマに対するスタッフ型コンサルティングのケースを考えてみよう。
この場合は相手企業の専門スタッフと共同でプロジェクトチームを組むことが多い。
その際は、相手スタッフ以上の専門能力と同時に、プロジェクトを発展的に推進するリーダーシップが要求される。
また、そのプロジェクトを取り巻く内外の経営環境、あるいは経営全体の中でプロジェクトをどう位置づけるかという戦略的判断力も必要である。
このようにスタッフ型コンサルティングのケースでも、専門能力に加えて、プロジェクトチームに対するリーダーシップ、プロジェクトに対する戦略的判断力も求められる。
専門能力だけであれば、相手企業のスタッフ代行業務にとどまり、コンサルタントというよりも便利屋的存在になりかねない。
このようにコンサルタントとなるためには、広範にわたる高度な能力、資質が要求される。
それを難しいと考えるか、あるいはそれに「天職」としての魅力を感ずるかどうかが、この仕事を続けるか脱落するかの分岐点となるようである。
中身より「恰好」で失敗するケースが多い
コンサルタントを志し、一旦は独立したが脱落した二つのケースを次にとりあげてみる。
この二つに共通するのは、ホワイトカラーとしての知的イメージに適合する職業としての経営コンサルタントの選択であり、内容の充実よりも「恰好をつけること」を優先してスタートしてしまったということである。
第一のケースは、独立のセレモニーを華やかに行い、スタートしてはみたものの顧客は思うように集まらず、結局は独立するには実力不足とあっさり断念し、またもとのサラリーマンに逆戻りするようなケースである。
本当にコンサルタントを志す意志があるのであれば、一旦どこかのコンサルティングファームに所属し、そこで力をつけてから独立するのも一つの手であり、中高年者の中にもこうしたやり方で独立に成功したケースが見受けられる。
第二のケースは無計画な投資による失敗である。
コンサルタントとして独立するにあたって、まず事務所を構える。
事務所を開設すれば、それに対応してOA機器、デスク、応接等の備品を揃えなければならない。
女子事務員も必要になる。
しかし、受注は思うようにはなかなか進まない。
そのうち、当初の縁故受注ともいえるクライアントとは契約切れ、次第にジリ貧となって事業としては失敗というケースである。
これは、仕事の内容と質(中身)の充実よりも、外に向けての形(恰好)を重視してスタートした結果による失敗である。
個人で始めるのなら、事務所の開設などはいつでもよく、事業見通しがついた段階で行えば、適性規模の、時には思いきった規模の大胆な投資も可能になる。
中高年・シニアの、スペシャリストとしての独立
自分自身が商品、その価値をどう高めるか
自分の持っている専門能力、専門技術を活かして会社から独立するパターンであり、サラリーマン時代に培った能力、技術が独立のベースである。
1人でも始めることが出来、通常はあまり大きな資金も必要とせず、経済的な面ではリスクが少ないといえる。
しかし、自分自身が「商品」であり、自分の能力・技術をどう高めるか、それをクライアント等にどう売り込むかといった面では厳しいものがある。
独立分野をみると、一般管理職であれば経営コンサルタント・税理士、商社マンであれば翻訳・海外進出コンサルティング、情報技術者であればシステム開発受託などがよくある例である。
その中で、一般管理職として過ごしてきた中高年ホワイトカラーの場合は、永年勤めあげた会社を離れてしまえば、外に向けて自分を売り出すセールスポイントがはっきりとしないケースがほとんどである。
そこで、中小企業診断士、税理士、不動産鑑定士等の資格取得を志すなど、中高年になってからの新たな能力開発が求められることになる。
しかし、スペシャリストとしての独立は経済的にはリスクが少なく、しかもホワイトカラーにはイメージも適合する職業であり、独立にあたって最初に考える職種の一つとなっている。
だが、いざ独立してみると、苦労も多く長続きせず、いつのまにか脱落し、またもとのサラリーマンに逆戻りするケースは非常に多い。


