経営コンサルタントにみる独立成功のポイント
コンサルタントとしての独立のケースによりその成功・失敗のポイントを考えてみることにする。
経営コンサルタントなどスペシャリストはホワイトカラーのイメージに適合し、1人でも活動できることから独立して明日からでも仕事が始められそうである。
しかし、いざ始めてみると高度な能力、資質、たえざる自己啓発を求められる厳しい職業でもある。
以下、経営コンサルタントを事例にスペシャリストという職業の特性とその成功ポイントを探るものとする。
コンサルタントとしての能力・資質があるか
経営コンサルタントとして独立を決断するにあたって、何よりも大事なことは自分の資質、能力についての客観的判断である。
経営コンサルタントといっても幅は広い。
「経営コンサルタント」と一般的に言われてるものは、次の三つのタイプに区分して考えている。
●総合型……経営を指導する
●スタッフ型……人事システムを提案、マーケティング調査を行うなど
●教育訓練型……もちろん、三つのタイプの業務を複合的に行う場合も多い。
そこで、あなたの能力・あるいはキャリアは、どのタイプに適性があるかを、まず判断しなければならない。
しかし、経営コンサルタントとは人をリード出来て始めて成立する職業である。
つまり、スタッフ型にしろ教育訓練型であれ、相手の会社に行き、その経営者・幹部・社員をリードし、経営を正しい方向に導いていかねばならない。
あなたにはその資質があるか、どうかである。
コンサルタントとしての資質の主なもののいくつかを次にかかげておく。
(1)「経営」についての知識とスキルが十分か。そして「プロ」として通用するものがその中にあるか。
(2)企業活動そのものが好きかどうか。そしてそれをよりよいものへと改善、発展させて行くことに生き甲斐を感ずるかどうか。
(3)変化の激しい企業内外環境についての情報を敏感にキャッチしているかどうか。
また、変化に対応してタイムリーに相手会社に対して戦略提案、改善提案が出来るか
(4)書く、話すなどの表現力は十分であるか。 また、自分が正しいと思ったことを相手に納得させるリーダーシップ、人間性に自信があるか。
以上、資質の中でも特に重要なものについてあげてみた。
また、中高年サラリーマンの場合には、さらに次のような留意点が追加される。
(1)経営(経営者)の立場からのものの見方と判断が出来るかどうか。
つまり会社従属型人間から脱皮できているかどうかということである。
それが出来ていなければ、独立したといっても相手企業のスタッフ代行業にとどまり、真のコンサルタントとしての自立とはいえない。
(2)経営コンサルティングに関連する業務を実務として経験しているかどうか。
例えば、関連企業等の経営指導経験、各種プロジェクトのリーダーとしての成功体験などである。
中高年になってからの独立である。 独立したばかりという甘えは許されない。
相手企業は始めからベテランコンサルタントとしての活動と成果を期待している。
あなたはあなたのファンを何人獲得できるか
経営コンサルタントとして独立にあたってはいろいろな準備が必要だ。
まず、コンサルタントとしての学習。
例えば産業能率大学に通学 する、中小企業診断士の資格取得のため勉強するなど。
そして、機が熟して事業設立への準備。
事務所開設、事務員の手配、PR活動…。
準備は周到に行うにこしたことはないが、経営コンサルタントとして独立にあたって、最も重要なことを忘れてはならない。
それは、あなたには何人のお客、つまり、経営者のフアンがあなたに何人いるかということである。
個人としてスタートする場合で考えてみると、少なくとも必要経費と家族の生活費のメドは最低でもつけておきたい。
これを、あなたのフアンである経営者とその企業により確保する。
逆にいえば、最低何人のあなたのフアンが必要かという目標を設定し、それが、達成できた時を独立のタイミングとすることも一つの考えである。
即ち、独立にあたっての最大の重要事項は、あなた自身の能力、人間的魅力に対するフアンを何人準備できるか、ということである。
こうした最低の保証があれば、最初の1年は友人の会社、サラリーマン時代の関係先企業などをかけずり回れば、プラスアルファのコンサルタントの仕事は拾い集めることが出来る。
しかし、これは保険の外交のようなものであり、次の1年からが問題だ。
問題の第一は1年目のお客が2年目も続くかということである。
これには、あなたがコンサルタントとしてあげた成果の問題もあるし、相手企業の事情もあり簡単ではない。
第二は、その間に今度はコンサルタントとして実力により新しいお客の開拓が出来ているかどうかである。
このように、コンサルタントの仕事を成功させるためには、能力、資質だけではなく営業など相当の経営努力も求められる。
コンサルティングの魅力と難しさ
経営コンサルティングは必ずしも理論通りではなく、通り一遍の、例えば中小企業診断士に合格した程度の知識だけではなかなか通用しない。
これが、コンサルティングの難しさであり、同時に魅力でもある。
例えば、中小企業に対するコンサルティングでは、総合型の能力と資質が求められる。
つまり、経理部門だけを指導するとしても経理についての専門知識だけでは本当の経営指導は難しい。
経営全体を見る眼が必要である。
また、一つの改善提案を行いそれを実際に推進するためには、まず経営者を説得し、改善の責任者となる幹部を洗脳し、さらには一般社員をやる気にさせなければならない。
実践によって成果は出る。
そして、具体的成果が出て始めてそのコンサルティングは評価される。
次に、中堅以上の企業を対象とする専門テーマに対するスタッフ型コンサルティングのケースを考えてみよう。
この場合は相手企業の専門スタッフと共同でプロジェクトチームを組むことが多い。
その際は、相手スタッフ以上の専門能力と同時に、プロジェクトを発展的に推進するリーダーシップが要求される。
また、そのプロジェクトを取り巻く内外の経営環境、あるいは経営全体の中でプロジェクトをどう位置づけるかという戦略的判断力も必要である。
このようにスタッフ型コンサルティングのケースでも、専門能力に加えて、プロジェクトチームに対するリーダーシップ、プロジェクトに対する戦略的判断力も求められる。
専門能力だけであれば、相手企業のスタッフ代行業務にとどまり、コンサルタントというよりも便利屋的存在になりかねない。
このようにコンサルタントとなるためには、広範にわたる高度な能力、資質が要求される。
それを難しいと考えるか、あるいはそれに「天職」としての魅力を感ずるかどうかが、この仕事を続けるか脱落するかの分岐点となるようである。
中身より「恰好」で失敗するケースが多い
コンサルタントを志し、一旦は独立したが脱落した二つのケースを次にとりあげてみる。
この二つに共通するのは、ホワイトカラーとしての知的イメージに適合する職業としての経営コンサルタントの選択であり、内容の充実よりも「恰好をつけること」を優先してスタートしてしまったということである。
第一のケースは、独立のセレモニーを華やかに行い、スタートしてはみたものの顧客は思うように集まらず、結局は独立するには実力不足とあっさり断念し、またもとのサラリーマンに逆戻りするようなケースである。
本当にコンサルタントを志す意志があるのであれば、一旦どこかのコンサルティングファームに所属し、そこで力をつけてから独立するのも一つの手であり、中高年者の中にもこうしたやり方で独立に成功したケースが見受けられる。
第二のケースは無計画な投資による失敗である。
コンサルタントとして独立するにあたって、まず事務所を構える。
事務所を開設すれば、それに対応してOA機器、デスク、応接等の備品を揃えなければならない。
女子事務員も必要になる。
しかし、受注は思うようにはなかなか進まない。
そのうち、当初の縁故受注ともいえるクライアントとは契約切れ、次第にジリ貧となって事業としては失敗というケースである。
これは、仕事の内容と質(中身)の充実よりも、外に向けての形(恰好)を重視してスタートした結果による失敗である。
個人で始めるのなら、事務所の開設などはいつでもよく、事業見通しがついた段階で行えば、適性規模の、時には思いきった規模の大胆な投資も可能になる。
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